病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
大切なお子さんに先立たれたご家族のために…
 
ご案内
Lana-Peaceとは?
プロフィール連絡先
ヒーリング・カウンセリングワーク
エッセイ集
サイト更新情報
日々徒然(ブログへ)
 
エッセイ集
悲しみで心の中が
ふさがった時
お子さんを亡くした
古今東西の人々
魂・霊と死後の生
〜様々な思想〜
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
 
人間の生きる力を
引き出す暮らし
自分で作ろう!
元気な生活
充電できる 癒しの
場所
魂・霊と死後の生〜様々な思想〜

こどもの臨死体験と医師

先日、いくつか臨死体験に関する本を読みました。その中にはこどもの臨死体験について本人が成長後話したもの、あるいは当時の様子を親族が語ったものなどたくさん登場していたので、Lana-Peaceでもご紹介したいと思います。それらの本で特筆すべきなことは、著者が医師であり、自身の研究調査に基づき得られた臨死体験のエピソードだという点です。二人とも、宗教的な独特な思想に支配されている方でもなく、西洋医学の医師として論理的な思考、実証に基づく現象…そうした科学的な立ち位置を決して忘れていない医師です。今回こどもの臨死体験のご紹介をする上で、やはり筆者の背景を知っておいた方が良いと思いますので、こちらに記しておきます。

---*---*---*---

イギリスのサム・パーニア(Sam Parnia)先生はあと数週間後に最終試験を迎えるという医学生の頃、臨死体験のテレビ番組を見る機会がありました。番組は臨死体験の研究者がたくさん出演して自説を述べていましたが、科学的証明に基づいていないことを事実のように話す姿勢に、彼はすっかり失望してしまいました。しかしながらそこに、一人の研究者が登場したのです。ロンドンのキングスカレッジ病院の神経精神病学及び神経生理学の専門家であるピーター・フェンウィック先生でした。フェンウィック先生は臨死体験がなぜ起こるのか、我々はまだ知らない、と率直な表現をとったことに、大変好感を持った彼は、わかっていないなら、調べれば良いではないかと思い、数週間後、指導教官だった精神医学の教授に相談したのです。そこでパーニア医学生に紹介されたのが、あのフェンウィック先生でした。彼は試験に合格後、フェンウィック先生に会いに行き、親交を深めるようになりました。そして膨大な文献調査を行っていきました。そこで明らかになったことは、死の間際にどのようなことが人間の心に起こるか理論は提案されても、科学的に検証されたものが一つもない、ということです。そこでパーニア先生は新しいアプローチで取り組む研究プロジェクトを立ち上げました。2015年発刊の書籍の著者紹介では、ニューヨーク州立大学の救命医療の准教授と紹介されている方です。

---*---*---*---

アメリカのジェフリー・ロング(Jeffrey Long)先生は1984年、当時アイオワ大学で研修医で、がんに関する論文を探していました。図書館でJAMA (Journal of the American Medical Association) 244号を読んでいた時、偶然、「To Sleep, Perchance to Dream」というタフツ大学の医師の論文に行き当たったのです。同時にその論文に対する反論のレター論文「The Near-Death Experience」も目にしました。ロング先生は臨死体験に対する新しい見地に愕然とし、大きな衝撃を受けましたが、当時は放射線腫瘍医としての勉強に集中することを選んだのです。
その数年後、ロング先生が大学時代の友人夫妻と食事をしたことが、彼にとって大きな転機となりました。食事の席で友人の妻は、かつて全身麻酔を受けた時にアレルギーを起こし、心肺停止となった自身の経験を話し出したのです。天井に浮かんだ彼女は、自分の心電図モニターがフラットになっているのが見え、懸命に医療従事者が自分の身体を蘇生している様子を目にしました。手術を受ける前に入院していた病棟のナースステーションに移って、看護師が忙しく働く様子を見た彼女はやがて、目前に開いたトンネルに引き寄せられたと言うの出す。明るい光が見え、穏やかな気持ちに充たされ、トンネルを抜けた彼女を待っていたのは既に他界した肉親と慈愛に溢れた神秘的な存在でした。そして彼女はその神秘的な存在から生きていた世界に戻りたいかどうかを尋ねられ、わからないと答えたものの、その記憶を抱えたまま、気付いた時にはICUにいたのです。看護師に自身の経験を話すと彼女の元には修道女が送られ、彼女の体験したことは「悪魔の仕業によるものだ」と言われてしまいました。それからもう彼女は自身の経験について口を閉ざしてしまったのです。それでもきっと、ロング先生ならまっすぐに自分の話を聞いてくれると思ったのでしょうか、彼女は体験したことを話したのでした。ロング先生は実際目の前にいる彼女の様子を見て、信頼できる人物だと確信したのでしょう。その経験に強く心揺さぶられたロング先生は、ついにその夜、臨死体験の研究に乗り出そうと決意したのです。それから10年後の1998年、ロング先生はNear Death Experience Research Foundation(NDERF 臨死体験研究財団)を設立されました。集まった臨死体験の事例は1,300例、それを科学的手法で分析して、ついにロング先生は死後の生は存在すると確信するようになったそうです。 アメリカ ルイジアナ州で放射線腫瘍医として活躍される一方で、The International Association for Near Death Studies (国際臨死研究協会)理事も務めている方です。

こどもの臨死体験が「空想」「妄想」「虚言」そんな風に片付けられるのではなく、真摯に耳を傾ける医師の存在は本当に貴重なことですね。
2017/11/8  長原恵子
 
関連のあるページ(サム・パーニア医師とジェフリー・ロング医師)
「こどもの臨死体験と医師」※本ページ
「幼児・中学生の臨死体験」
「大いなる存在によって守られるこどもたち」
「ご縁のある人々によって守られるこどもたち」
「いつかまた逢う日まで」