病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
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天に還った人々の憂い

こちらでアニー・ケイガンさんと亡くなった兄のビリーさんとの交流についてご紹介しましたが、今日は、ビリーさん以外にも他界した方々が、この世に遺してきた人々のことを見守り、憂い、幸せになってほしいと願っている例について、取り上げたいと思います。

アニーさんはある満月の夜、瞑想して過ごすうちに、心の中に浮かんだ疑問がありました。それは「別の次元から、この世界に介入することができるのか?」ということ。紙に書き留めておくと、次の日の夕方、亡くなった兄のビリーさんが光として、アニーさんの頭上に現われました。

起きて、起きて、アニー。
僕は本物だって証明したはずじゃなかった?
それに僕が本物かどうかより大事なのは、君がいる「この世」以外の次元の世界が存在するということ。
光と愛と慈悲に満ちた場所が、本当にあるんだ。

そして、その別の世界から、地上での人生がちょっとだけうまくいくように、ちょっとだけ優しくなれるように、ちょっとだけ音楽を奏でるように人生を楽しめるように、君のいる世界に光がもたらされることがある。


引用文献:
アニー・ケイガン著, 島津公美訳, 矢作直樹監修(2016) 『アフターライフ 亡き兄が伝えた死後世界の実在、そこで起こること』ダイヤモンド社, p. 188

この世で生きる人々のための小さなギフトとして、何らかの計らいがあるのだとしたら…それが亡くなった人々の世界から施されているものだとしたら…目には見えなくても、音には聞こえなくても、私たちはちっとも孤独に思う必要なんてありませんね。
もしかしたら、自分が努力したから…とか、今日はツイているから…なんて感じたことは、実はそういうギフトのおかげかもしれません。

さて、その日のビリーさんは、アニーさんのために何か言葉をかける…というわけではなく、ちょっと違うお役目を持っていました。それはアニーさんの親友テックスさんに対するメッセンジャーの役割です。

テックスさんはアニーさんが離婚後、同居する二匹の猫と数日に一度会う郵便局の人以外、交流を持たない…といった隠遁生活をおくっていた頃、参加してみた地元の小説家志望の会を主催していた方でした。
テックスさんに伝えたいメッセージとは一体、何…?

今日は、君に会わせたい人がいる。部屋の隅に青みがかかった金色の光が見える? 彼はパットっていうんだ。とても強くて、高貴な魂だよ。どこかテックスに似ているだろ? それもそのはず、彼はテックスのお兄さんだから。

君も知っての通り、テックスのお兄さんは、テックスがまだ10代の頃、感謝祭で帰省する途中で飛行機が墜落し、悲劇的な最期を迎えた。そして彼は、テックスを守る存在になっている。

テックスのお母さんも、お兄さんのパティー・マローンも、そしてこちら側にいるテックスを愛するすべての存在が、彼女に手紙を送ってほしいと言うので、これから言うことをどうか書き留めてほしい。


引用文献:前掲書, p.189

それは母親を看取った後、すさんだ生活になっているテックスさんへの、いたわりと励ましのメッセージでした。

親愛なるテックスへ

お母さんの看病で疲れ果てた末、お母さんが亡くなったからといって自分を傷つけないように。酒に溺れて自分を傷つけても、つらさを乗り越えられはしないよ。

運命って言葉を君が好きなのは知っているから、あえて使うけど、君の運命は酒に溺れる以上のことがあるはずだ。
たぶん、君の魂がどんなものかを知る時が来たんだよ。

「もうだめだ」と繰り返し訴える自分の体を少しだけ離れてみてごらん。僕はそうやって楽しんでいたよ! なにしろ歯も抜け落ちてぶくぶく太り、髪も薄くなり、膝は痛むし、血も吐いていたけど。
そう、しばらくは、そうやってつらいことから逃れればいい。

けれどもその後で、やらなくちゃいけないことがある。
君が傷ついた人を静かに癒してあげたいと思うように、自分にもそうするんだ。

だから今は、僕がその優しさを君に与えよう。
君はその悪習を自分の体が悲鳴を上げる前にやめなくてはならない。

少しずつでいいから前に進もう。
自分のしていることを自覚するところから始めよう。

良し悪しなんてないし、間違ったことなんてひとつもない。
ただ自分がやっていることを自分で意識してみてくれ。


ビリーより


引用文献:前掲書, pp.189-190

自分の辛さを誰にもわかってもらえない…そんな風に思っていても、亡くなった人々は、地上に遺した人々の悲しみの深さを、手に取るようにわかっているのですね。悲しみをお酒で紛らわせることは、決して過ちではないけれども、でも、大切な人との死別をきっかけに、生活がどんどん荒廃しく様子を、悲しい気持ちで見守っている人々がいることを、忘れてはいけません。
死者の冥福を祈る気持ちがあるならば、こちらの世界で生きている人々が、存分に幸せになることも、きっと死者の冥福につながるひとつだと思います。そしてあちらの世界からもたらされている目に見えないギフトに感謝することが、きっと大事なのだろうと思います。

他人には優しくできても、自分や身内には手厳しい目を向けがちの人、多くいらっしゃいます。でも、自分をいたわって、自分が力をつける…それはそれでいいじゃないですか。また自分が頑張れる時がきたら、今度はもっともっと、他人に優しくなれる時がくる…そういう巡り合わせの中に、人は生きているのですから。

 
あなたは幸せに生きることが、願われている存在なのです。その願いは空の彼方から、山の彼方から、海の彼方から…。 
2016/12/9  長原恵子
 
関連のあるページ(アニー・ケイガン氏)
「分かり合えなかった兄からの贈り物」
「天に還った人々の憂い」※本ページ