病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
大切なお子さんに先立たれたご家族のために…
 
ご案内
Lana-Peaceとは?
プロフィール連絡先
ヒーリング・カウンセリングワーク
エッセイ集
サイト更新情報
日々徒然(ブログへ)
 
エッセイ集
悲しみで心の中が
ふさがった時
お子さんを亡くした
古今東西の人々
魂・霊と死後の生
〜様々な思想〜
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
 
人間の生きる力を
引き出す暮らし
自分で作ろう!
元気な生活
充電できる 癒しの
場所
魂・霊と死後の生〜様々な思想〜

小さな灯の遺す大きな足跡

この世の人生を駆け足で終えていったお子さんの人生について、思い返すたびに、様々な感情が親御さんの胸中に渦巻くことでしょう。
エッセイ「短い一生と人生の意味」では、ドイツ人のアルフレッド・デルプ(Alfred Delp)神父の言葉をご紹介いたしました。

もし一人の人間によって、少しでも多くの愛と平和、光と真実が世にもたらされたなら、その一生には意味があったのである。

アルフレッド・デルプ(Alfred Delp)神父の言葉
1945年 反ナチス運動で死刑に処される直前、綴られた手紙より
(原文はドイツ語・日本語訳アルフォンス・デーケン先生)

デルプ神父はイエズス会士。キリスト教、カトリックの流れですが、宗教の如何に関わらず、その根源は同じなのだと思える言葉が、シルバーバーチの霊訓の中にありました。

シルバーバーチ(Silver Birch)とは、1920年代より毎週金曜日の夜、ハンネン・スワッファー(Hannen Swaffer)氏によってイギリスで開かれた交霊会「ハンネン・スワッファー・ホームサークル」に登場していた指導霊の呼び名です。シルバーバーチから人々に向けられて発せられるメッセージには、人の生や死の意味が語られていました。それは何か特定の宗教色を伴うものではありません。共通する根源、と表現できるかもしれません。

数多くのメッセージの中で、とても心に残ったのが、次の言葉です。

あなた方にはそれぞれにこの世で果たすべき仕事があります。
それを果たすためにはこうした知識を摂取し、それを活力としていくことが必要です。
霊に宿された資質を自らの手で発揮することです。
そうすることは暗闇で苦悩する人々に光を与える小さな灯台となることであり、そうなればあなたのこの世での存在の目的を果たしたことになります。※1)


たった一人でいいのです。全てが陰気で暗く侘しく感じられるこの地上において元気をつけてあげることができれば、それだけであなたの人生は価値があったことになります。※2)


引用文献:
アン ドゥーリー編, 近藤千雄訳(2004)
『シルバーバーチの霊訓(1)新装版』潮文社,
1) p.28
2) p.31

たった一人であっても、誰かの心を動かすことができれば…それは、学校に行かなければできないとか、成人に至らなければできない、なんてことはありません。幼い命の灯が、わずか数時間、数日で消えてしまったとしても、その生きる姿は必ずや誰かの心を動かし、心の中に大きな足跡を残したはずです。 それは、今世における命のおつとめをしっかりと果たした、と言えるだろうと思います。前述のデルプ神父と同じ考えですね。

日本では「霊」という言葉を持ち出す時、神妙さを伴う時もあれば、何やら胡散臭く思われる時もあります。しかし、シルバーバーチは私たちはそもそも霊的存在であり、霊と身体(実質を伴った肉体)との融合ともいうべき状態が、この世で生きる人間だと捉えています。

つまりあなた方は本来が霊的存在であり、それが肉体という器官を通して自己を表現しているのだということです。霊的部分が本来のあなたなのです。霊が上であり身体は下です。霊が主人であり身体は召使いなのです。霊が王様であり身体はその従僕なのです。霊はあなた全体の中の神性を帯びた部分を言うのです。

それはこの全大宇宙を創造し計画し運用してきた大いなる霊と本質的には全く同じ霊なのです。つまりあなたの奥にはいわゆる
“神”の属性である莫大なエネルギーの全てを未熟な形、あるいはミニチュアの形、つまり小宇宙の形で秘めているのです。(略)

身体はあなたが住む家であると考えればよろしい。家であってあなた自身ではないということです。
家である以上は住み心地よくしなければなりません。手入れが要るわけです。しかし、あくまで住居であり住人ではないことを忘れてはなりません。


引用文献: 前掲書, pp.26-27

なぜ人は健康を追求し、病気である状態から抜け出そうとするのか…それはあまりに当たり前すぎて、理由など考えたこともないけれども、霊的存在である私たちが、この世でより良く生きるために、必要な場(家)を作るためだと仮定してみれば、身体を大事にする意味もはっきりしてきます。

その「霊的存在」である私たち誰もが、必ずこの世で迎える死について、どう考えれば良いのでしょう。シルバーバーチは、こどもに死をどう説くか尋ねられた時、次のように答えています。
それは大人もきっと、素直にうなずける言葉だろうと思います。

その子供に理解力があればの話であることは無論ですが、
死とは小鳥が鳥かごから放たれて自由に羽ばたくように肉体から解き放たれて、より大きな生活の世界へ進んで行くことであると説明しましょう。

引用文献: 前掲書, p.180

 
短い人生の中で人に光を与え、小さな枠の世界から、無限の大空へ飛び立ったこどもたち…みんな、今は必ず楽しく過ごしているはず。

2016/9/23  長原恵子

 
関連のあるページ(シルバーバーチ)
「短い一生と人生の意味」
「小さな灯の遺す大きな足跡」 ※本ページ