2014年8月、恩賜箱根公園に行ってきました。
ここはかつて皇族の避暑地として、また外国からの大切なお客様をもてなすため、明治19(1886)年、函根離宮が作られた場所なのだそうです。離宮の建物は大正12(1923)年の関東大震災や、昭和5(1930)年の北伊豆地震によって倒壊し、その後昭和21(1946)年、神奈川県に離宮跡地が下賜されました。
そして公園として整備され、一般に開放されるようになり、今に至るのだそうです。土地にも様々な歴史ありですね。

箱根関所資料館のすぐそばに駐車場と中央門がありますので、ここから行くこともできますし、もう少し東よりの芦川橋から入ることもできます。
芦川橋はその昔、東海道の名橋と言われた三つの石橋の一つで、かつて箱根町芦川地区の旧街道にかかっていたものが、こちらの公園に移されて保存されているのだそうです。

芦川橋から直進すると二百階段があります。階段は整備されていますが、結構傾斜はありますので、身体の負担にならないように、自分のペースで。
階段の横にはいろんな苔が生えているので、ぜひ「こういうのもあるのかあ」とのんびり楽しみながら、一歩ずつゆっくり進んでください。
階段を上るとサンショウバラがたくさん植えられているあたりにお手洗いがあり、その後ろに見事な洋館の展望館と中央広場が広がります。

中央広場から湖畔寄りに進むと弁天の鼻展望台があります。風に吹かれて、芦ノ湖の雄大な景色とその周りの緑を眺めていると、気分爽快。
120年くらい前の皇族や賓客の方々は、どんなこと考えてこの箱根の空気を吸っていたのでしょうね。
お盆を過ぎた8月の箱根の風は、気持ち良く、たくさんのトンボも楽しそうに空を飛んでいます。

展望台から湖畔沿いに進むと急な階段がありますので、ここでは慎重に。
階段の日陰にきのこを見つけたり、いろいろな種類の木や草の思わぬ発見があります。そしてまた急な階段があり、塔の鼻広場では、ゆっくり休憩することができます。どんどん進むと芦ノ湖の水際へ降りることもできます。

私が当日歩いたのは、現地の看板に「健脚コース」と称された散策道。
(別に健脚ではないのですけど、整備された所なら大丈夫かなと思って…) 確かに急な階段が何段もありました。でもちゃんと足底に力の入る靴であれば、登山靴でなくても大丈夫でした。時々日傘が、急な勾配の階段を上る時、杖代わりに役立ちました。
「山に行きたいけれど、重装備で行く程の自信はないし、でも緑の風を楽しみたいし…」と思う方にはぴったりのコースです。

緑の木々の中を深呼吸して一歩ずつ進むと、ハイキングをしているような気分になってきます。だんだんと変わっていく視界が、とても新鮮。人が比較的少なくて静かだったためか、とても落ち着いて風の音を聞いたり、緑の揺れる様子を眺めたり、楽しい時間を過ごすことができました。
とても自然が活かされた場所ではあるけれど、そこにある程度人の手が加わって整備されているため、公園の森の中を歩いていても、何だか怖いと言う感じではありません。周囲の山のあたりに比べて、公園全体の気が整っているという感じでしょうか。
地形によって、いろいろな種類の階段がありますので、写真をとっておきました。下をご参照ください。

中央門から中央広場にかけて、足元が平らな傾斜となったスロープが整備されていますので、足元が気になったり、ベビーカーを押していきたい方は、こちらからのんびり進むことができます。