病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
大切なお子さんに先立たれたご家族のために…
 
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あなたのお子さんが入院中、仲の良かった同室のお友達が亡くなってしまった時、お子さんはがっくりと気落ちしていたかもしれません。せっかく仲良くなって、お互いの支えや励みになっていたというのに…友情が途切れてしまったことを、とても残念に思っていたことでしょう。
でもその友情は、ずっと続いています。あなたのお子さんが亡くなった時、先に亡くなっていたお友達は、あなたのお子さんが安心できるようにと遊びに来てくれることもあるようです。アメリカの小児科医メルヴィン・モース先生の本『死にゆく者たちからのメッセージ』の中には、そうしたことがわかる事例として、カナダのブリティッシュコロンビア州パンクーバーにあるエナービー・バンクーバー総合病院の小児科准教授(当時)であるデビッド・スミス先生の報告が登場します。

二人の少女サンドラさんとクリシーさんは、がんの化学療法を受けるために、数週間、同じ頃に入院していました。でもサンドラさんの容態は思わしくなく、病院から数百キロ離れた自宅へ退院していったのだそうです。それは、サンドラさんが最期の時間を過ごす場所として、自宅を望んだからでした。サンドラさんの退院後、クリシーさんは連絡は取り合いませんでした。もちろん家族も。

その後サンドラさんは、自宅で数か月を過ごすことができました。そしてついに危篤となり、数時間深い昏睡状態に陥ってしまったのです。
サンドラさんはそこからもう一度、意識を取り戻しました。その時、安心した表情だったのだそうです。
ご両親は随分驚いたことでしょう。昏睡から目覚めた娘が、次のようなことを話したからです。

「ママ、わたし、天国へ行ってきたのよ。
クリシーが迎えにきてくれたわ」
サンドラはいった。

「天国にはわたしがいるから心配しなくても大丈夫よっていってくれたの」

そのビジョンを見てから、サンドラは迫りくる死を恐れなくなった。サンドラは、天国は白い光にあふれた美しいところだし、クリシーのような友達がいてくれるから安心だといっていたという。
サンドラが亡くなったあと数日たってから、サンドラの両親はクリシーがその数週間前に亡くなっていたことをはじめて知った。

サンドラが死の間際に見たビジョンは、ふたりの少女の両親どちらにとっても慰めとなった。彼らはいま、天国でふたりの少女が一緒にいることを知っているからだ。

引用文献:
メルヴィン・モース/ポール・ペリー著, 池田真紀子訳(1995)
『死にゆく者たちからのメッセージ』同朋舎出版, pp.51-52

この世で仲良しだった二人が、今また天国で仲良く過ごしているのだと思うと、何かほっとすると共に、心があたたかくなってきますね。

友達が迎えに来るという事例はもう一つ、モース先生の本の中に登場します。アメリカ心霊研究会(American Society of Psychical Research〉の創設者のお一人であり、またコロンビア大学で倫理学と論理学の教授として教鞭をとられていたアーネスト・ハイスロップ先生の報告されている事例です。1889年6月に起こったお話です。

仲良しだった二人の少女、ジーニーさんとイーディスさんはジフテリアに罹り、危篤になってしまいました。
ジフテリアとはみなさん聞き慣れない病気かも知れません。現在日本では、四種混合ワクチンとして生後3カ月になったら打つことのできる予防接種の中に含まれているため、ジフテリアに罹る確率が極めて低くなったからです。国立感染症研究所感染症情報センターによると、今から70年ほど前、ジフテリアの予防接種が始まる前には、日本でも8万6千人もの方が罹患した(※)そうですから、ハイスロップ先生の19世紀末の報告の頃は、もっと多くの方がその病に倒れたことでしょう。
The Topic of This Month Vol.19 No.10(No.224)

イーディスさんは容態が悪化し、死が近づいていた時、ジーニーさんの姿を見たのだそうです。実はジーニーさんはその時既に亡くなっていましたが、イーディスさんはそれを知らされていませんでした。
でもイーディスさんはジーニーさんと会話し、ジーニーさんの死を知ったと言うのです。

「お父さん、
ジーニーが先に行ってるって教えてくれなかったのね」

イーディスはベッドのわきに立って驚いている父親にそういった。父親によると、イーディスは腕を伸ばして微笑んだという。

「わたし、ジーニーを連れて行くわ」

引用文献:前掲書, p.115

サンドラさんもイーディスさんも、仲良しの共に友達が先に亡くなっていたことを聞かされていません。二人とも友達のビジョンを見たことにより、亡くなったことを知り、また亡くなった後もこうしてこの世に会いに来ることができるのだと知ります。
二人の言葉や表情を見ると、亡くなった友人との再会は懐かしさをもたらしただけでなく、死をむやみに怖れない心境をもたらしてることに気付くことができます。
死はただ居場所が変わるだけであり、すべてが消滅するわけではなく、こうして必要な時にこの世の親しい人の元に現れることができるのだと…。

誰かから教え込まれたのではなく、自分の経験として、仲良しの友達との再会を通して自分が得た理解。
それは、神様が少女たちにもたらしてくれた贈り物かもしれませんね。

 
あなたのお子さんも決して一人ぼっちで寂しくないこと、あなたにも知ってほしいと思います。どうか安心してください。
2014/9/18  長原恵子