病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
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昨日エッセイ「天使と過ごす自由な魂」で、アンデルセンの童話『天使』の中から、亡くなった子どもの魂は、天使に抱かれて天国へ行くのだという一節をご紹介しました。韓国の旅客船セウォル号の沈没によって亡くなって見つかったお子さんも、亡くなってまだ船の中に閉じ込められているお子さんも、みんなその魂は、恐怖や寒さから解き放たれ、暖かくのんびり楽しい場所で、心安らかに過ごしてほしいと切に願います。

アンデルセンは、魂は不死であり、永劫であるものだと考えていました。アンデルセンの大変有名な童話『人魚姫』には、そのように考えられる箇所が出てきます。
難破して溺れた王子を助けた人魚姫は、自分が命の恩人だと王子に気付かれることのないまま、亡くなってしまうという悲恋のお話です。
最初のあたりに、人間界に憧れを抱く人魚姫に、人間の命と人魚の命の違いについておばあさまが説くところがあります。
人魚たちにとって、海の世界での寿命は300年もあるけれど、寿命が尽きた後は海の泡になって消えてしまうこと。そして人間は人魚の寿命よりはうんと短いけれども、この世の命が終わった後、その魂は天の美しい世界にのぼり、永遠に続くこと。
人間界に憧れる人魚姫に、おばあさまはこう言うのです。

わたしたちには、不死のたましいというものがないのです。
もう二どと生命を持つことがありません。ちょうどみどりのアシのようなもので、一ど、かりとられたら、もう二どとみどりの芽をだすことはありません。

ところが、人間には、いつまでも生きている、つまり肉体が土になったあとでも、生きているたましいというものがあるのです。そのたましいはすんだ大気の中を、キラキラ光っているお星さまのところまでのぼっていくんです。
わたしたちが海の上まで浮かんでいって、人間の国を見るように、人間のたましいは、わたしたちのけっして見ることのできない、未知の美しい世界へのぼっていくのです。

引用文献:
ハンス・クリスチャン・アンデルセン著, 大畑末吉訳(2000)
『アンデルセン童話集2 新版』岩波書店, p.115

突然、この世から消えてしまったように感じられる命が、魂としてどこか美しく、素晴らしい場所で生き続けているのだとしたら…。
アンデルセンの童話『天使』の中で、亡くなったお子さんを天国に連れて行ってくれたのは1人の天使でした。そしてまた、その天使も1年前は、病気で亡くなった子どもだったのです。

 
夭逝して「かわいそうな不憫な子」という思いが、あなたの心の中に深く刻まれてしまったかもしれないけれど、「誰か別の人を救う貴い役割を担っている天使」に成長しているかもしれません。      
2014/4/24  長原恵子