病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
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この世に「生まれる前の記憶」を持つ少女のお話は、こちらで取り上げましたが、その少女と同じようなお話を、ある本の中に見つけました。

そのお子さんは、どうやら生まれた時に、何か病気があったようです。
3歳になってそのお子さんが語った言葉には、真実の中に、とてもあたたかい光が詰まっているように感じたので、ご紹介したいと思います。

ママ、パパに、会いたかったよ。

よろこんできたよ。
自分で決めてきたよ。
学ぶためにきたよ。
これからも学んでいきます。
(自分のからだは)
自分でえらんだよ。
たいへんだから、えらんだの。
たいへんだとおもしろいから、えらんだの。

(空から見たとき)ママはれん(いとこ)とあそんでいたよ。
(空には)赤ちゃんがいたよ。男の子。
(いっしょに)あそんでいたよ。本を読んだり。

(ママとパパを)とても尊敬しています。
あいしています。

ママを(先に)見つけてパパと会わせたの。
ママの子どものころから見ていたよ。
ずっといっしょ。
ママをさがすのは
とてもとてもたいへんだったの。
のあのママはママしかいない。
パパの子どものころも見ていたの。
パパはやさしくて強いから。

のあはかみさまに会ったことあるよ。
とてもとてもすごくて、えらいひと。
みんな、会ったことあると思うよ。
「がんばって生きなさい」と言われたよ。

銭(せん)のあちゃん(3歳8カ月)

引用文献:
池川 明(2010)『ママのおなかをえらんだわけは…。』二見書房, pp.74-76

この人生で学ぶため、大変な身体を自分で選んだというお子さん。
生まれる前の魂は、とても気高く、崇高ですね。
お母様は、このように考えたのだそうです。

私の質問に文字盤(あいうえお表)を使って話してくれました。
「障がいは子ども自身が決めて生まれてくる」と考えるのは、私の責任転嫁ではないかという自責の念もありました。けれどしだいに、この子たちは自ら学びを得て、親や周囲の人を大きく成長させるため、強い決志と勇気とともに生まれてきたと思うようになりました。

夫に対しても「私と結婚しなかったらこんな苦労はなかったかもしれない」と申し訳なく思っていたので、「ママとパパを会わせた」という娘の言葉には心が軽くなりました。

引用文献:前掲書, p.77

きっとのあちゃんは、そういう心の変化を迎えたお母様のことを、とっても嬉しく思っていると思います。だってのあちゃんが、ご両親を選んだのですから。親を悲しませるために選んだのではなく、大変さを抱えながらも、それでも頑張っていける喜びを「この人なら叶えてくれる」と思い、選んだのですから…。のあちゃんの心の背後には、そういう希望が満ち溢れていたのですから。

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生まれたばかりのお子さんに、何か病気があるとわかった時、「どうして病気なの…?」そういう気持ちでいっぱいと思います。病気になることは誰のせいでもないけれど、きっとそういうこどもたちは、その病気の症状や大変さを引き受けることのできる、とても高度な魂を持って生まれてきたのだろうと思います。

そして、その病気を治して元気になっていく過程や、あるいは治らないけれども、その身体と共に生きていく過程を通して、一緒に頑張ってくれる人を親として選んできたのではないかなと思います。

親として苦悩の時間を抱えてきた分、そこに費やされた時間と注がれてきたご自身のエネルギーは「治るために、今何ができるか」に向けられるようになると、きっと人は変わっていけるように思います。
それが治らない病気であったとしても「治るために」は「今よりも状態が良くなるために」「今よりも悪化しないように」と置き換えれば良いと思うのです。

そういう病状があってもこどもたちは、それぞれの成長を遂げています。その変化を見つけ出し、そこに喜びを見出していくことができるようになると、病気と共に生きていくことの「気持ちの上での苦しさ」が少しずつ変わっていきます。
それは机上の空論ではありません。実際そういうお父様、お母様にたくさんお目にかかり、お話をうかがうことによって「苦しさは自分で生み出すけれど、喜びも自分で生み出すことができる」と確信するようになりました。そして、その喜びを希望に変えていくと、お子さんはご両親から力をもらうことができます。

そういう希望を心に携えた人がそばに来て、静かに座っているだけで、その人から発せられる心の波動が、静かにお子さんに伝わっているのですから…。それによってお子さんの心にはあたたかい風が吹き込んできます。

 

あなたがもしも自責の念を持っているならば、それは手放し、お子さんの成長を1つでも多く見つけ、それを希望に変えてくださいね。

2016/1/9  長原恵子