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病気と一緒に生きていくこと
サイドカーに乗った赤血球

「闘病」という言葉は世間でよく使われる言葉にも関わらず、個人的な感情として、なんだかしっくりこないなぁと思う時があります。以前エッセイ「従病(しょうびょう)」で書きましたが、特に病気が自己免疫疾患である場合、病気の成り立ちを考えると、闘うとは何を相手にするものであるのか、考えてしまいます。
あなたのお子さんの病気がそのような病気である場合、治療の間、お子さんを励ます時、どのような表現をして良いのか迷う方もいらっしゃることでしょう。

さて、アンドルー・ワイル先生のご本の中に、ある自己免疫疾患の病気の方のお話が出ていました。30代の男性のお話ですが、小さなお子さんにも良い参考になる例だと思いますので、取り上げたいと思います。
その男性の病気は自分の免疫が赤血球や血小板を破壊してしまうもので、ずっと免疫抑制剤を内服し、手術も行ったのだそうです。それでも改善が無かったので、ワイル先生の元で、生活改善と自然療法が行われました。

その自然療法のひとつが専門家の女性の指導によるイメージ療法だったが、最初はそれがうまくいかなかった。
「あの先生はいい人です」
と、彼は電話でわたしに報告してきた。
「でも、ぼくの苦手な暴力的なイメージばかりを指示するんですよ。自己免疫を起こしている白血球をレーザー光線でやっつけろとかね。からだに暴力を加えることは、うんざりするほどやってきました。ぼくに必要なのは、もっとやさしいイメージだと思うんです」

やがて、彼は自分にぴったりなイメージを思いついた。
攻撃をしない白血球(サプレッサーT細胞)が白バイに乗った警官であり、その警官がサイドカーに赤血球と血小板を乗せて血流中を走り、攻撃してくる白血球から護衛するというイメージである。そのイメージはひじょうに効果をあげ、彼の自然療法の中心的な部分を占めるようになって、ついには自己免疫疾患の長期寛解に成功したのだった。

より意識的な、目的をもった白昼夢をみることによって、また、とくにイメージを喚起しやすい感情的な反応に注意を払うことによって、イメージの力をからだにおよぼす訓練ができる。

外傷でものどの痛みでもいい、だれもが経験する傷害の治癒を促進するために、ふだんからイメージの力を使うようにこころがけていただきたい。そうすれば、重い病気になって治癒力を総動員しなければならなくなったときに必ず役立つ。


引用文献:
アンドルー・ワイル著, 上野圭一(1995)『癒す心、治る力 自発的治癒とはなにか』角川書店, p.282

赤血球と血小板が白バイのサイドカーに乗って、身体の中をぐるぐるまわっているとイメージしたら、何だか愉快ではありませんか?
「守られる」イメージが身体の隅々まで行き届いて、自分の身体の活動を支えている…そんな風にいつも思い描くことは、気持ちがどんどん晴れやかになっていくようです。
それは決して単なる気休め、とか空想の世界への逃避なのではなく、脳内のセロトニン放出を増やす過程につながっているように思えるのです。
(セロトニンに関しては後日、詳しく取り上げたいと思います)

 
あなたのお子さんも、頼もしい仲間をイメージして、回復につながっていきますように…。 

2014/2/20  長原恵子