病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
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病気と一緒に生きていくこと
悩むことからの解放

病気になってしまったら、あれこれとつきない悩みが湧き上がり、その悩みに振り回されて、自分で何をどうしたら良いのかわからなくなってしまう方もいらっしゃることでしょう。私も自分ががんと診断された時は、そのような状態になりました。それは何も私だけそうなのではなくて、多くの人がそうなると思います。全国で生と死に関する講演を行われていますアルフォンス・デーケン先生も、大腸がんと告げられて眠れぬ夜を過ごした時、マタイ6章の言葉を思い出されて、心を落ち着けられたそうです。(詳細は明日のことは思い悩むなをご参照ください)

でも「思い悩まない」ことによって、物事が一向に解決しないのでは?という疑問も湧くかもしれません。
先日、アルフォンス・デーケン先生の2013年キリスト教入門講座 前期(東京都千代田区 岐部ホール)で配布された資料を整理していたところ、2013/5/29に開催された「生きがい 人生の意義を探る」というテーマの際にいただいた資料がでてきました。心配を手放して、神への信仰を深めるということについて書かれていたのですが、そこには信仰を育てることの効果が次のように記されていました。

私たちの日常的な心配事の90%までは、不要な思いわずらいに過ぎないのです。
ですから、人間の力ではどうしようもないことは、神の御手に委ねましょう。そうした信仰を育てて行くと、無用の悩みから解放され、本当に大切なことだけに集中する生き方を身につけることができると思います。

引用文献:
アルフォンス・デーケン(1993)「キリスト教と私」聖母の騎士, 10月号, p.2


悩みの渦の中にはまってしまうと、そこから抜け出すことは容易ではありません。悩みが何なのか見失ってしまい、悩んでいる自分に悩まされてしまうようになっていきます。
ですからデーケン先生のこの文章から、「悩まないということは、本当に大切なことに集中できるエネルギーを失わないために必要なのだ」と思いました。それは信仰が何であるかを問わず、共通することだと言えるでしょう。私も卵巣がんの手術のあと「転移していたら、どうしよう…」と悩み、陰鬱な気持ちを拭えなかった時がありました。でも、ある日、自転車に乗って家の近くの橋を渡っていた時、ふと思ったのです。
「転移してもいいじゃない。」
「だって自分の免疫に頑張ってもらうから!」
そのように考えると、急に気持ちの上にあった大きな重石が、ころんとはずれたような心地がしました。

病気について心配事を考え始めると、書ききれないほどあります。でも起こるかどうかわからない一つ一つに、自分が支配されるのはもうたくさんだと思ったのです。それよりは実際に起こった問題を、自分がちゃんと処理していけばいいだけの話なのですから…。
あの時、「転移してもいいじゃない」と思いながら橋を下った時、きった風の感覚はとてもさわやかでした。

 
あれこれ悩みがつきないあなた、一度その悩みを手放してしまい、心を楽にさせて、元気を蓄えてくださいね。            
2013/12/6  長原恵子