病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
大切なお子さんに先立たれたご家族のために…
 
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夭逝した少年と渡り鳥

1970年、帝塚山大学考古学研究室によって、和歌山県田辺市の磯間岩陰(いそまいわかげ)遺跡から、5世紀後半から6世紀中頃にかけて作られた、8つの石室が発掘されました。
このうち5号石室には美しい小石が敷かれ、その上には右足の親指にキンチャクガイで作られた小さな貝輪がはめられた、6歳位の少年が埋葬されていたのだそうです。少年の胸には、日本に春・秋にやってくる渡り鳥アジサシの骨が検出されていました。
辰巳和弘先生は次のように記されています。

おそらくこの少年は春か秋に亡くなり、葬送にあたって、父母がその小さな胸にアジサシを抱かせたのであろう。子供の魂がアジサシによって他界へと無事に導かれるよう、さらに渡り鳥のように再び渡来して(蘇って)欲しいという両親の切なる思いが胸を締め付ける。


引用文献:
辰巳和弘(2011)『他界へ翔(かけ)る船−「黄泉の国」の考古学』新泉社, pp.27-28

このご両親は、大切な息子さんの命には、何か次の新しい展開があると感じていたように、思えてきます。
もしかしたら息子さんは、生前、鳥が大好きだったのかもしれませんね。
死後、息子さんがひとりぼっちで寂しく過ごすことのないように、息子さんと一緒に遊んでほしいと、アジサシに願いを託したのかもしれません。

また、辰巳先生はアジサシの意味として、ご両親の元へ蘇るという思いを記されています。息子さんが戻ってくるまでの間の期間に、ご両親はたくさんの願いを込めたことでしょう。
朽ちることのない魂はアジサシと共に広い海を渡り、ニューギニアやオーストラリアで冬を越し、見聞を広め、シベリア、サハリン、千島列島で新しい命を育んだアジサシと共に、また日本に戻ってくるようにと…。
アジサシは息子さんの魂を運ぶ、魔法の乗り物のようです。
それは、息子さんを亡くして慟哭する思いのご両親にとって、強い支えとなるものだったに違いありません。

「何かを信じる」ということは、教義に基づく「宗教」だけを示すものではないと思います。何かを信じる、信じた何かに思いを託すということは、泥沼のようになってしまった悲しみの胸中から、這い上がっていくために、大きな力になるのだと私は思います。その「何か」は、科学的に証明されているか、と真贋が問われるべきものではないと思います。そもそも、真贋を問うようなテーブルにあげられること自体がナンセンスなのかもしれません。悲しみの真っ只中にいらっしゃるご家族にとって、その「何か」が救いになるのであれば、十分意味があるのですから。

 
先立った大切なお子さんが、どこかで、のびのびと楽しく過ごしていますように…。                            
2013/6/7長原恵子