病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
大切なお子さんに先立たれたご家族のために…
 
ご案内
Lana-Peaceとは?
プロフィール連絡先
ヒーリング・カウンセリングワーク
エッセイ集
サイト更新情報
日々徒然(ブログへ)
 
エッセイ集
悲しみで心の中が
ふさがった時
お子さんを亡くした
古今東西の人々
魂・霊と死後の生
〜様々な思想〜
アート・歴史から考える死生観とグリーフケア
 
人間の生きる力を
引き出す暮らし
自分で作ろう!
元気な生活
充電できる 癒しの
場所
悲しみで心の中がふさがった時

言えなかった言葉の裏

本音の部分を言葉にして語り合えないまま、大切な人が死を迎えてしまった時、遺された人々は、もしかしたら悔やむ必要のないところに足をとられて、動けなくなっているかもしれません。
亡くなった人の側から考えてみると、自分が言葉にして伝えなかったことにより、本当の気持ちを理解されず、それによって大切な人が悩み、悔やんでいるならば、実に心苦しく、心残りですね。
でも、真実が伝わることにより、お互いの気持ちがわかったら…今日はそういう例として、あるご夫婦の話を、ご紹介しようと思います。大人同士のお話ですが、先立ったお子さんとご家族の間にも、きっと同じようなことがあると思うので…。

Mさんは奥様を胃がんで亡くされてから1年経った頃、ジョージ・アンダーソンさん(詳しくはこちらをご参照ください)のリーディングを受けました。そこで奥様は亡くなる前の頃の自分を振り返り、次のようなメッセージをMさんに送ってきたのです。

『最後にいろいろ、聞きわけのないことばかり言って
ごめんなさい。せっかく結婚して幸せになれたのに、
病気で死ななきゃならないなんてあまりにもひどい。
それに対して怒っていたの』
と言って、あなたに謝っています」


引用文献:
糸川 洋(2012)『トゥルー・ミディアム』Kindle版,
第三章 死別した夫婦の契りは……
「はやくリーディングをして!」

入院生活も最後の頃、奥様はMさんにお願いして、CDプレーヤー付きのカセットデッキを病室に持ち込んでもらいました。奥様の要望通りに購入したカセットデッキでしたが、奥様は「私が欲しいのはこんなんじゃない」とMさんに文句を言い、当たり散らしたのです。
当時Mさんは、奥様が決してCDプレーヤーに文句を言っているわけではなく、病気の進行を辛く思っているのだと、言葉の裏に真の心情を読み取っていました。そして、新たにジョージさんを通して受け取った奥様からのメッセージは、やはりその通りだったわけで、Mさんの涙腺を崩壊させたのです。

奥様の方も、謝罪しないまま、逝ってしまったことを随分気にしていたのでしょう。続いて奥様は、亡くなった頃に抱いていた怒りの理由を、更に細かく、語り出したのです。

「『私はあなたに会うまで、苦労の多い人生だった。
あなたに会って、とても幸せになれたから、死ぬときには
無念の思いがありました。
だから死んだばかりのときは、怒っていたのよ。
死後の世界があるのは分かったけれど、肉体的にあなたや
娘と別れてしまっては、どうしようもないじゃない。
でも、今はそれを克服しています。
あなたと娘の守護霊になっています』
と言っています。」

「はい」

「『悲しいのはあなたひとりじゃない。
私がいつもそばにいるわよ。孤独じゃないのよ。
なんでこんな目に遭うんだ、などと、
あまり否定的に考えないで』」

「はい」

「『私が死んだことの悲しみがなくなる日はないと思うけど、
あなたにはあなたの人生があります。
このリーディングを節目に新しい生活に踏み出して。
もう生きるのもいやだという気持ちがあるのは
知っているけど、その気持ちは乗り越えてください。
お互いの過ごした時間は、いつまでも宝物のように
大事にしているから』
と言っています」

「はい」

引用文献:
前掲書, 第三章 死別した夫婦の契りは……
「感情を抑さえなければ、リーディングはできない」

奥様はMさんや娘さんのことが気がかりだったのですね。
でも、Mさんから奥様への思いも、しっかりと奥様に届いていました。
ジョージさんは、メッセージを表すビジョンを通して、次のようにMさんに語りかけたのです。

「神社で彼女の名前を書きましたか」

「はい」

「絵馬のようなものが見えます。
彼女のあの世での平安を祈るようなことを書きましたね。」

「はい」

「その気持ちは彼女に間違いなく届いています。
あなたのことを彼女が光で包んでいます。」

「はい」

「あの世では時間の観念がないから、
『あなたと娘が来るのをいつまでも待てるわ』
と言っています」

「はい」

「彼女のお墓に行って、彼女に語りかけましたか」

「はい。娘がこんなことを喋るようになったとか、
いろいろ報告しています」

「『私はいつもあなたたちのそばにいるから、
  わざわざ報告しなくても分かっているのよ。でもありがとう。
私はお墓の中にはいないけど、あなたが来たときはわかる
  から、そのときはあなたのそばにいつもいるわ』
と言っています」

「はい、わかりました」
(略)

「お祈りを続けてください。
また会う日までさようなら、と彼女が言っています。
これで通信は終わりです。」


引用文献:
前掲書, 第三章 死別した夫婦の契りは……
「感情を抑さえなければ、リーディングはできない」

亡くなった方に向けて、この世で語りかける思いはしっかり届いているのですね。「間に合わなかった」「今となっては、もう遅い…」そんな風に考える必要はないのです。

Mさんは奥様を亡くされる前に、ご両親やお姉様を亡くされていました。そのため、死についていろいろと考える機会がありました。そしてMさんは、人は亡くなると今度は生者の心の中で生き続け、見守るようになるのだと、漠然と考えるようになりました。でも一方で、自分が当事者となって死ななければ、そこははっきりしないと思う気持ちもありましたが、ジョージさんのリーディングで奥様からのメッセージを受け取ったことにより、それは納得したものへと変わっていったそうです。

奥様が亡くなられて1年、立ち直っている自分と悲しむ自分を自覚していたMさんでしたが、ジョージさんのリーディングを2回受けて、気持ちが変わっていきました。それは奥様から『さあ、元気を出して』とメッセージを届けられたことにより、悲しむ気持ちをすっかり払拭されたような気がしたからです。奥様から元気づけられ、立ち直るきっかけになったように思えました。気持ちの変化をMさんは、次のように語っています。

「悲しみを乗り越えて、生きる気力が湧いてきたことです。
自分では立ち直りが早いほうだと自負していましたが、
やはり一年経っても元の状態には戻りませんでした。
結局、残された人生を大事にして、充実した日々を過ごす
ことが、死者に対する最大の供養になるのだということを
知りました。(略)」


引用文献:
前掲書, 第三章 死別した夫婦の契りは……
「リーディングへの感想・その2」

 
お互いを思いやる気持ちは、お互いの人生を大事に思う気持ちから生まれていたもの。それは死を迎えた後も、変わりなく続くのです。
2016/8/31  長原恵子
 
関連のあるページ(ジョージ・アンダーソン氏)
「親の怒りのエネルギーを憂う子」
「息子に届いた母の祈り」
「たとえ生まれ出ることはなかったとしても」
「僕は無事なんだから」
「時を大事に生きるならば」
「言えなかった言葉の裏」※本ページ
「思いが届かないもどかしさ」
「脳死となったお子さんの魂」
「この世の命は短くとも」
「祈りによって続くつながり」
「祈りが息子にもたらした平安と成長」