病児・家族支援研究室 Lana-Peace(ラナ・ピース)
Lana-Peace 「大切なお子さんを亡くされたご家族のページ」
大切なお子さんに先立たれたご家族のために…
 
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悲しみで心の中がふさがった時
逆境から生まれた優しさと強さ 2

病気でお子さんを亡くされた後、同じ病気のお子さんにお会いになると、複雑な気持ちにかられるかもしれません。
どうしてうちの子は亡くなってしまったのかなあ…と。
生きていたらこんなに大きく成長して、学校や社会の中で自分のやりたいことに取り組んでいたのかもしれない、と。
逆境から生まれた優しさと強さ 1
でご紹介したSちゃんのお母様のことを考えるために、もう一度、神谷美恵子先生のお言葉を引いてみたいと思います。

1) ひとは自己の精神の最も大きなよりどころとなるものを、自らの苦悩のなかから創り出しうるのである。
知識や教養など、外から加えられたものとちがって、この内面からうまれたものこそいつまでもそのひとのものであって、何ものにも奪われることはない。


2) いま、もしそのひとが新しい生きがいを発見することによって、新しい世界をみいだしたとするならば、そこにひとつの新しい視点がある。
それだけでも人生が、以前よりもほりが深くみえてくるであろう。
もはや彼は簡単にものの感覚的な表面だけをみることはしないであろう。ほほえみのかげに潜む苦悩の涙を感じとる眼、ていさいのいいことばの裏にあるへつらいや虚栄心を見やぶる眼、虚勢をはろうとする自分をこっけいだと見る眼―そうした心の限はすべて、いわゆる現実の世界から一歩遠のいたところに身をおく者の限である。


引用文献:
1) 神谷美恵子(1980)『神谷美恵子著作集 1 生きがいについて』
みすず書房, p.135
2) 前掲書, p.193

Sちゃんとの死別の後、Sちゃんのお母様の新しい生きがいが、何であるのか私は存じ上げておりませんが、少なくともご自分の気持ちを高い壁で囲って孤独に苦悩しているのではないことは、はっきりと言えます。
どなたか病気のお子さんやそのご家族にとって、プラスになるようなことのお手伝いをしたい…という気持ちなのだろうと思います。新しい世界を見つけられたのだろうと思います。

お子さんを「生きがい」と思っていらっしゃる方にとって、お子さんが亡くなられた後、暮らしはぼろぼろになってしまうかもしれません。
「自分は生きていても仕方ない」と思うかもしれません。

でも「もう生きがいなど見つからない」と思う気持ちを横に置いて、
目には見えなくなってしまったお子さんがあなたのそばに今、存在していたと考え、お子さんと一緒に過ごすあなたの生きがいを見つけてみてはどうでしょうか。
「<あなた>の生きがいは何ですか?」という問いは、
「<あなたとお子さん>の生きがいは何ですか?」に変わるのです。

お子さんがやりたかったことをあなたが挑戦してみるのも良いでしょう。
それによってもたらされる新しい環境、新しい人間関係、新しい体験は、きっとあなたの日々の心の揺れをポジティブなものへと変えてくれる力を持っていると思います。お子さんもきっと、そうあってほしいと願っていると思います。

 
「あなたとお子さんの生きがい」があなたに新しい世界をもたらしてくれますように…                       
2013/8/24  長原恵子